1906年の創業のミズノには20年を超えるロングセラーのランニングシューズがあります。その一つが今年で23代目となる、「ウエーブライダー」です。
同シューズにはクッション性と安定性を兼ね揃えた代表的素材である「ミズノウエーブ」が搭載されていますが、この素材は現在ではランニングのみならずテニスやバレーボールなど幅広いスポーツ分野で使われています。
今回はミズノのウエーブの歴史とその機能・構造、ミズノウエーブ搭載のおすすめランニングシューズをご紹介します。
ミズノウエーブの歴史と特徴
前身となったマジカルクロスミッドソール
ミズノでは従来より「安定性」「クッション性」を重視したランニングシューズの開発が行われてきました。
85〜86年の「マンチェスター」「エアジェノバ」、87〜88年の「エアジェノバST」には当時の開発コンセプト「SAFETY RUNBARD」を象徴する「マジカルクロスミッドソール」を搭載しています。
波状のミッドソールにファブリック(不織布)を挟み込みこむことで、走行時のねじれを防ぎ、安定性を高めることを実現しています。生産性の悪さから4年で製造中止となってしまいましたが、このテクノロジーは現在のミズノウエーブの原型ともなっています。
ウエーブライダー1の登場
97年、ミズノウエーブ構造を初めて搭載した「ウエーブライダー1」が登場しました。ミッドソールを柔らかくするとクッション性が高まる一方、足がぐらついてしまいます。逆にこのぐらつきを抑えようと固い素材を使うと、クッション性が損なわれてしまいます。この本来相反する、ソールの安定性とクッション性を両立したのがミズノウエーブでした。
反発性の高い樹脂で作られたプレートをクッション性の高いソールに挟み込むことで、適度な反発とクッション性を両立しました。さらにウェーブ状にこれらを配置することで、横方向へのぐらつきを抑え、安定性も実現しています。
進化するミズノウエーブ
コンピューターシミュレーションの発展とともに、ミズノでは様々なスポーツやランニングシーンに最適なウエーブのプレートを生み出すことができるようになりました。20年以上たった今でも、ミズノウエーブは継続的に進化を続けています。
ミッドソールがない?インフィニティウエーブ
従来のウエーブ構造ではクッションにスポンジを使用していたため、シューズを履き続けるうちにクッションがへたってしまい衝撃吸収性も落ちてしまいました。そこでミッドソールスポンジを最大限削減し、2枚の波型プレートだけで形成することで長寿命を実現しました。
従来のミズノのランニングシューズの5倍ミッドソールがへたりにくいという結果も出ています。
インフィニティウエーブを搭載した代表的なシューズにはウエーブプロフェシーが挙げられます。
クラウドウエーブ
2016年にはミズノウエーブの進化系であるクラウドウエーブが登場しました。
ウエーブ素材のプラスチックが与えるやや硬めの履き心地が改善され、ランナーにとってより心地よい走りを可能にしています。最新のウエーブライダーにもこのソールが使われています。