レース後半になると、どうしても足が止まってしまう」「いつも同じペースのジョグばかりで、成長を感じられない」
そんな悩みを抱えるランナーに最もおすすめしたいのが「ビルドアップ走」です。ビルドアップ走は、文字通り「徐々にペースを上げていく」練習法。心肺機能と脚力の両方を段階的に追い込めるため、効率的に走力を引き上げることができます。
この記事を読めば、あなたの目標タイムに合わせた「今日から実践できる具体的な設定ペース」が明確になります。
ビルドアップ走の目的と期待できる効果
ビルドアップ走は、単なるスピード練習ではありません。一定のペースで走る「持続走」よりも負荷をコントロールしやすく、かつ実戦的な能力を養えます。
1. 生理学的な詳細メリット:乳酸との付き合い方

ビルドアップ走の最大の肝は、「乳酸作業閾値(LT値)」付近での滞在時間を増やすことにあります。
乳酸の再利用
運動強度が上がると、体内に乳酸が生成されます。低強度から徐々に上げることで、心筋や遅筋がその乳酸を取り込み、再びエネルギーとして燃焼させる効率が劇的に高まります。
「速筋」の動員と教育
ジョギングでは主に「遅筋」を使いますが、後半にペースを上げることで、普段使い切れていない「速筋」を呼び起こします。これにより、レース終盤の脚が重い状態でも、脳が適切な筋肉を動員できるよう回路が強化されます。
ミトコンドリアの量と質の向上
心拍数が徐々に上昇するストレスを与えることで、細胞内の発電所である「ミトコンドリア」が活性化し、酸素を使ってエネルギーを作る効率が最大化されます。
2. 実戦的なメリット:30km以降の「擬似体験」

フルマラソンで最も苦しいのは、エネルギーが枯渇し始める30km以降です。ビルドアップ走は、その状況を短い距離で再現できます。
「漸増負荷」による心肺の追い込み
最初から速いインターバル走と違い、ビルドアップ走は「すでに疲労が溜まった状態」でさらに負荷を上げます。これは、マラソン後半の心拍数が上がっていく状況に非常に近く、心肺のスタミナ(粘り)を養成するのに最適です。
ネガティブスピリットの習得
多くの市民ランナーが「前半貯金、後半借金」というレース展開で失速します。ビルドアップ走を習慣化すると、「後半に余力を残して上げる」というリズムが脳と体に染み付き、本番でのオーバーペースを自然に防げるようになります。
フォームの崩れを修正する力
疲れてくると腰が落ち、ストライドが狭くなります。ビルドアップ走の最終段階(最も速い区間)で、いかに「綺麗なフォーム」を維持できるか意識することで、レース終盤のフォーム崩れを最小限に抑える技術が身につきます。
3. メンタル面でのメリット:自己効力感の向上

「今日も最後まで上げ切れた」という感覚は、ランナーにとって強力な武器になります。
インターバル走のような「最初から最後まで苦しい」練習は、精神的なハードルが高いものです。しかし、ビルドアップ走は「最初は楽」から入るため、練習に取り掛かる心理的障壁が低く、かつ終わった後の達成感が大きいため、継続しやすい(=結果が出やすい)という特徴があります。
効果を最大化するためのステップ例
例えば15km行う場合、以下のような「3段跳び」のイメージで強度を上げてみてください。
- 導入(0-5km): フォームチェック。鼻呼吸で楽に。
- 育成(5-10km): 呼吸が少し乱れる程度。ここがLT値向上に最も効く。
- 仕上げ(10-15km): ゼーゼーと息が上がる手前まで。全力を出し切らず「もう1〜2kmならこのペースで行ける」ところで終えるのが継続のコツです。
【レベル別】実践トレーニングメニュー
ビルドアップ走は「5kmごと」または「15分ごと」に3段階でペースを上げる設定が一般的です。
ターゲット | 第1段階 (5km) | 第2段階 (5km) | 第3段階 (5km) | 練習の狙い |
初級者 (サブ5) | 7:30/km | 7:00/km | 6:30/km | 走る距離に慣れつつ、加速を体感する |
中級者 (サブ4) | 6:00/km | 5:40/km | 5:20/km | マラソンペースから一段上の刺激を入れる |
上級者 (サブ3) | 4:30/km | 4:15/km | 4:00/km | レースペース以上で追い込み、心肺を強化 |
最初から飛ばしすぎるのは厳禁です。第1段階は「余裕すぎる」と感じるくらいでOK。最後の1〜2kmを全力の8割程度まで上げ切ることが、この練習の真の目的です。
ビルドアップ走に最適な最新シューズ
このメニューは「ジョグの延長」から「スピード走」までをカバーするため、汎用性の高いシューズが最適です。
ASICS | マジックスピード 4
「迷ったらこれ」と言える、ビルドアップ走の王道。フルレングスのカーボンプレートを搭載しつつ、クッション性と安定性のバランスが抜群です。キロ6分台のゆったりした入りから、キロ4分を切るようなラストスパートまで、どの速度域でも違和感なく推進力を得られます。
- おすすめ: サブ3〜サブ4を目指すランナーのメイン練習に。





